隣人トラブル!?②
翌朝、昨日のいびきの件を考えながら、会社のパソコンで防音対策用の吸音材や吸音パネルを眺めていた。
と、その時電話が鳴る。
電話を受けた女子社員が寄ってくる。
「○○マンションのYさんからお電話です」
ちょっと心臓の鼓動が早くなった気がした。
「おはようございます、リーマンXです」
「おう、今日、隣の奴、何か言うとったか!?」
唐突すぎて一瞬戸惑う。
「いや、昨日はいびきの件、お伝えした事は報告しましたが、今日は何も」
「そうか。。。」
トーンが下がる。
「何かありましたか?」
尋ねてみた。
「昨日、あれからすぐ薬局行ってやな、いびきに効く鼻につけるテープ買ったんや。医者行こう思ったけど仕事で時間なかったからな。ほんでな、昨日はそれつけてな台所で寝たんや。そやからな、どうやったかな思っとったんや」
薬局に医者に、台所。
あまりにも予想外の内容に驚く。
「Yさん、そこまでしてくれたんですか、ありがとうございます」
とっさに出たのはお礼の言葉だった。
「いや、俺もな、以前いびきのことで文句言ってた一人やからな、その辛さよーわかるんや。人間しっかり寝んと働けへん。隣の兄ちゃんに謝らなあかんな」
Kさんてバレてるやん。
「では、この電話の内容お伝えしておきますね。また連絡します」
恐らく私は自然と微笑んでいたと思う。
早速Kさんに電話をかける。
Kさんは直ぐに電話に出た。
電話の内容を、Yさんの取った行動をしっかりと伝えた上で、昨晩のいびきはどうだったか聞いてみた。
「昨晩は本当に静かで、ぐっすり眠ることが出来ました」
よっしゃ〜!!
「それは、良かったですね!」
KさんはそこまでしてくれたYさんに申し訳ない、申し訳ない、と何度も繰り返していた。
そして、今日直接お礼を言いに行ってきますとのことだった。
Yさん、知ったら喜ぶだろうな。
この2人、今後トラブルにはまずならないだろう。
それにしても、あのYさんが鼻にテープをして台所で寝てる姿を想像するとこっちまで申し訳なく思ってしまう。
みんなYさんのような、思いやりのある人ばっかりだったら、隣人トラブルなん起きないのになと思った一幕であった。