管理会社の日常はミステリー

不動産管理会社勤務のリーマンXの日常業務を綴っていきます。

隣人トラブル!?①

先日、管理マンションの入居者から連絡があった。

 

「毎晩、耳栓して布団をかぶって寝ているけど、もう限界です!」

と鼻息荒く電話してきたのは20代の男性Kさん。

入居以来、ずっと隣室のいびきがうるさく我慢していたとのこと。

 

こういう音のクレームは人によって感じ方が違うので、 実際の程度はわからない。

中には凄く神経質な人もいる。

だが、聞いた以上伝えなければならない。

それが管理会社の使命。

 

隣室の方の名簿を見ると、

あら、以前反対にいびきのクレームを言ってきた50代男性のYさん。建設業勤務のガテン系

 

Kさんの部屋の前住人に対していびきのクレームを言ってきたことがあった。

ただ、そのいびきの住人は短期で解約したため、それ以上の問題に発展することはなかった。

 

気乗りしないが、とにかく電話する。

「Yさん、ちょっと申し上げにくいんですけど、近くのお部屋の方から、いびきのクレームが来てるんですよ。まあ人によって感じ方は違うので一概には言えないですが、一応連絡あったことだけお伝えしますね。壁の薄いマンションなんでね。。」

 

「え!!俺が!!??自分では全然わからんわ。どうしたらええねん?隣の奴が言うてるんか?」

怒ってるようにも聞こえるし、ショックなようにも聞こえる。

 

「うーん、こればっかりはねー。寝ないわけにもいかないですしねー。我々も実際どの程度なのか聞いたわけではないので何とも言えませんがねー」

と差し障りのない回答をする。

基本的にクレーム主は明らかにしない。まあ分かるけど。

 

「わかった。ちょっと考えるわ」

と言い残してYさんは電話を切った。

 

考えるって、退去!?

逆ギレしてKさんとこいく?

 

なんか不安。。

 

②へ続く

退去立会のポイント

では2020年に民法が改正されるまではどうだったかというと、1998年に国土交通省が公表した「現状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というものがあります。

 

それを見てもらえれば、具体的なことがわかると思うので、ここでちまちま書くのはやめることにします(笑) 

「現状回復をめぐるトラブルとガイドライン

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

 

我々のような管理会社はこのガイドラインに基づいて、退去立ち合いの時、どちらの負担にするかを判断するわけです。

 

が、

 

しかし、

 

そう簡単にいかないことが度々起こります!!

 

私「この壁の傷どうしました?」

借主「私が借りた時からありましたよ」

私「・・・・・」

これ、一番困るパターンです、管理会社としては。。。(入居時は管理契約のなかった物件で原状がわからないケース)

私「おかしいですね、こんな傷があれば、入居前に補修するものなんですがね」

借主「でも、最初からありましたって」

私「・・・・・(証拠だせ!)」

と思いながらも言えるわけもなく。

私「わかりました、じゃあこれは大家さんの方で補修するようにしますね」

となりお互い気まずい雰囲気になります。

 

そこで、ポイントです。

・入居時に気になる箇所(傷、汚れ等)がある場合は、しっかり写真で記録しておきましょう。

管理会社から「いつ撮ったものかわからない」と難癖つけられないように、新聞等の日にちのわかるものと一緒に撮れば完璧です。(実際にそうされてる方いました)

 

私は入居される部屋が決まったら、隅々まで写真を撮り、借主にも渡して保管してもらうようにしています。

お互いのためですからね。

 

原状回復義務とは?

賃貸住宅にお住まいの方ならわかると思いますが、退去する際には大家さんか管理会社と立会わなければなりません。

 

目的は、借りた時の状態と明け渡し時の違いをチェックするためです。

壁や床に傷がないか、設備に不具合がないか等を確認します。

 大家さんは次の入居者に貸し出すため、綺麗な状態(原状回復)に戻す必要があります。

ようするに立会は、どちらがその原状回復工事費用を負担するかを決める最終決戦の場となるわけです。

現実的には、その判断の主導権は大家側(管理会社)が握っているということもあり、どうしても借主が負担を強いられるというケースが多く、紛争になる事も少なくありませんでした。

こうしたトラブルに、対応するため、2020年の民法改正で、原状回復義務という言葉が新たに定義されました。

 

第621条(賃借人の原状回復義務) 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

 

この条文の中で重要なのは、

通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。

ということです。

 

つまり、普通に住んでいて、自然に劣化したものは借主が直す必要はありませんよ、ということが、民法の条文で明らかにされたということです。

 

では具体的にどんなものがあてはまるか、次回でご紹介します。

 

はじめまして!

不動産会社の管理部に勤務しているリーマンXと申します。

 

マンションやテナントビルを管理していると、日々、様々なことが起こります。

騒音やゴミのクレームに家賃滞納、時には警察や消防署からの連絡に大慌て!なんてことが起こります。

ネズミや害虫と闘うこともあります(笑)

そして、この住民、もしかして。。なんてことも。


そんな日常を管理会社側の目線でお伝えしていこうと思います。

どうぞお付き合いよろしくお願いします。